大量生産のおせちに煮物が少ないわけ。
おせちアンケートを取ると、要望の上位に来るのがこれ
もっと煮物が欲しい。
かなり高い確率で入ってきます。中でも多いのが
レンコン入れてよ! 里芋いれてよ!くわい入れてよ!
確かに、レンコンは穴があいてて、未来を見通せるように、将来の見通し という縁起ものですし、
種が多いから子孫繁栄 とか、レンコンの蓮の花は仏教でも泥に咲く美しい花として、
人として成長するための生き方を象徴していたり、おせちには入って欲しいランキング上位です。
芽が出るくわい、里芋なども同様です。大量生産のおせちでは、実現が今のところ難しくなっています。
なぜ、こうなるのでしょうか?
大量生産する為には、事前に”冷凍”で製造しておく必要があり、それが一番の原因です。
殆どのおせちは冷凍で作られているが、野菜には冷凍耐性が無い。
大量生産するおせちは、あらかじめ冷凍で製造されます。その後、出荷のタイミングに合わせて
解凍してチルド(冷蔵)で送付されます。
野菜は水分が多く含んでいます。レタスなど冷凍するとシナシナになると思いますが、水分が冷凍する際に
膨張し、細胞破壊が起こる事が要因という事は、よく知られていると思います。
急速冷凍機は超高性能でも太刀打ちできない
CAS冷凍
プロトン凍結
3D凍結
など優秀な冷凍機があります。しかしながら、これらの優秀な冷凍機を使って、凍結をしても
野菜の食感をよくしたまま冷凍する事はできませんでした。
いろいろ野菜の冷凍耐性をあげる為の実験をしてみた
実験の前に、冷凍の回数についての解説です。 冷凍加工原料→解凍→加工(味付け)→冷凍
という工程を踏みますが、2回冷凍するとそれだけ組織破壊が起きます。なので、1回だけの冷凍で作るには
生原料から作る必要がありますが、簡単にはいきません・・・。
里芋のオランダ煮・・・失敗。おせちの里芋って、きれいに六方にカットされているでしょ?その作業を国内ですると、とんでもない価格に
なります。なので、中国でカットして冷凍して日本に持ってくる必要があります。
加工時の工夫として、冷凍耐性をUPさせるため、表面のコーティングをする為、表面の細胞破壊をしてみた。
里芋煮って、冷凍すると食感がどうしても ”ぐにょっ” ってなっちゃうんです。
オランダ煮は、油でさっと上げたり、炒めたりした後に、味付けする方法。オランダと言いながら、
中華でも揚げてから調理する方法はよく使いますよね。表面を軽くカリッとさせてから冷凍する事で
改善できないかやってみましたが、ぜんぜんダメでした。
れんこん ・・・・失敗。日本のレンコンは中国産がほとんど。市場に買いに行くと、国産のレンコンえげつない高い値段。中国からは、
塩分濃度が高いレンコンが塩漬けにされて輸入されてきます。理由は日持ち。
だいたい塩分濃度は14%くらいのイメージ。
最近は品質を良くするために塩分濃度を7%と”生に近い”状態のレンコンも手配できるようになりました。
生に近いので、いけるか?と思いましたが、それでも冷凍耐性には程遠い。
殆どの野菜が失敗する中、なんと成功する野菜と、方法を編み出したのであった。
それは、かなり科学実験に近いもので、業界初の成功でもあった!次回、冷凍に成功した煮物たち!
さらにマイナーな実験へと進むのであった。