おせち料理は料理ではなくなった?
おせち料理は料理ではなくなった?
毎年お正月には欠かせないおせち料理。
今や おせちは家庭で作られる方の方が少数派になってきましたよね。
おせち料理を作れる料理人もどんどん少なくなってきています。
おせちは買って食べる時代。
買って食べるという事は、その場で提供・消費する店舗とは違い 食品として提供するための
ハードルは一気に高くなります。
そうなると、大量調理 という分野になり、適用される法律も複雑になってきます。
料亭やホテルなどもそういう部分から自分たちで作ることが出来なくなりました。
5万、10万するようなおせちは本当にお店で作っていますが、法律的にはテイクアウトの惣菜である感覚と同じものです。
お金持ち以外はそんな簡単に手が届きませんよね。
では、1万や2万で食べられるおせちとはいったいどのようなものなのでしょうか?
おせち料理は工業製品?
料亭やホテルでそんなに大量につくれるわけが無いですよね。
以前は、ホテルは宴会場で、料亭は客席で大量に重箱を並べて、従業員総出でおせちの盛り付けを行い
販売をしていました。どこも同じ状況でした。
しかし、従業員が徹夜で作るなんていうのも当たり前の時代がありました。
時代はかわり、調理場以外で作るため、衛生面での問題、徹夜での作業がありブラックな環境下だったりと
相当リスクの高いことが危険視され、調理場でつくれるレベルの数量しか作られないようになってきました。
そうなると、弁当などを大量生産している工場へ委託するようになってきました。
つまり、料理人が作っていた時代から、工場が作る時代になり、工業製品化が加速していきます。
大量生産工場でどうやってつくるの?
おせち料理って、たくさんの料理の数がありますよね?実際にカタログなんかを見ると
40品目や50品目などとんでもない数が盛り込んであったりします。
それ全部を盛り込みする工場では作ってないんですね。
黒豆は黒豆屋さんに、伊達巻は玉子屋さんに、かまぼこはかまぼこ屋さんに。
それをいろいろ集めて詰めているだけです。
殆どの工場では調理はできるだけ行わないように心がけます。しかし、最近ではおせち専門工場なども出来てきており
工場のこだわり部分は自社で作り、作れない部分は専門業者に任せる という所も出てきて各社差別化が
起こるようになっています。
大量生産工場で作るメリットとデメリット。
一番大きなメリットは、販売数を大きくできる。衛生面が充実している。という所です。
安心安全!安心安全!って急に言われ始めて10年くらい経過していると思いますが、ちょうどそのころから
生産工場に移行していく過渡期になっています。
ではデメリットはなんでしょうか?
料亭の味、ホテルの味 などを表現しずらい事です。ほぼできないと言っても間違いありません。
というのも、おせちは日持ちがする前提です。しかし、料亭やホテルの味は即消費する前提の料理の味をイメージしている
人が多く、そもそも作り方自体が全く違います。
どうやってそのホテルの味、料亭の味 としてるの?
黒豆ひとつ取っても、全国にたくさん専門工場があります。その中から、自分たちの味に合うものを選びます。
また、値段は品質や素材によってさまざまですので、販売する価格に応じてチョイスしていきます。
でも全国から選ぶって言っても、そうそう取引できないですよね。
そこで登場するのが、普段からおせち食材を専門に扱っている卸業者の登場です。全国各地のおせちのパーツを作っている
業者と取引があり、商社としてそういった会社から自分たちの納得する商品を仕入れるのです。
おせちパーツを作る製造工場って、決して大きくない企業が多いんです。なので、大手食品卸の商社とは取引がない事が
殆ど。そういった中小を中心にした卸業者が存在するんですね。
自分たちで料理をせずに、安心安全の為に、詰め合わせするしかなくなった。
結果的には、自分たちの料理ではなく、自分たちがチョイスしたおせち詰め合わせセットというのが、現代の大量生産している
おせちの本当の名称とも言える。
そういった部分では、安心にはなったが、本当の料理人の腕が試されるという事はなくなった。
また、おせち料理を安心安全に”日持ちさせる手段”は普段から添加物とは無縁の料理人には作れません。
つまり、料理人では現代の厳しい基準に合ったおせち料理を作る事は出来なくなってしまったのです。
近年、おせち戦国時代に入り、おせちの作り方を大きく変える時代がやってきた。
別の記事でご紹介しましょう。